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インドや中国から調達する企業の業務リスクとリスク緩和のための戦略

インドや中国から調達する際には、これまでにお話したような物流インフラに関連する課題を克服しなければなりません。時には、課題のハードルがあまりにも高くて、こうした国からの調達そのものをあきらめてしまう企業もあります。しかし、低コスト国からの調達は、競争力維持のために避けて通れない選択になりつつあります。最近の調査によると、北米やヨーロッパの回答者の圧倒的多数が、中国(90%)またはインド(47%)からの調達を実施または検討していると示唆しています。

リスクを緩和するために西欧諸国は何をすべきか?

サプライチェーン戦略の全体像を設計する際には、中国やインドの物流システムの利点と欠点の両方を検討すべきです。輸送時間やコストは、距離、地理、物理的インフラ(道路ネットワークと品質)に影響されます。バイヤー企業は、部品や原材料を中国やインドから調達する際には、次のようなキーポイントについて考慮すべきです。

閉塞ポイントの有無に注意する

港から離れた場所にある生産施設やサプライヤとの取引には、西欧国との取引と比較してもコストがかかる上に、関連するリードタイムが長くなるリスクがあります。特に生産国内での移動距離が長い場合は、破損リスクをまかなうためにも、移動時間と安全在庫をコスト要因として適度に見積もっておくべきです。中国やインドのシステムには、サプライチェーンの効率性を大きく左右する「閉塞ポイント」があります。例えば、密集した道路、メンテナンス不良の橋や道路、州間の越境に伴う遅延、悪天候による影響、海賊行為や盗難のリスクなどが挙げられます。バイヤー企業には、こうした閉塞ポイントを想定した事前の計画が必要です。最近、カルカッタからムンバイまで1,350マイルをトラック輸送するのに、料金所や検問所で32時間も渋滞にはまり、平均時速11km で8日間もかかっていたことが判明しました。ヨーロッパなら同様の輸送を2~3日で完了できるでしょう。移動時間の計算には、港湾やシステム上の閉塞ポイントでの遅延を考慮しなければなりません。また、インドや中国で業務を展開するならば、緊急時の特急便にかかるコストも適度に予測しておくほうが賢明です。

間接コストを見過ごさない

インフラ関連コストは物流コストの大部分を占めていますが、間接コストも無視できません。マッキンゼーが最近出版した四半期報告によると、アジア諸国で物流関連のソフト面にかかる費用は、GDP成長率を2%も引き下げる可能性があると言われています。ソフト面にかかる費用の例としては、トラックの積荷超過、納品の遅延、顧客の決済遅延などがあります。新興市場の間接費は、非効率な物流サプライチェーンが原因となり、先進国が10%であるのに対して、13~14%かかると報告されています。こうした費用を考慮し、影響を最小化することが必要です。より優れたサプライヤの発掘、国内輸送などクリティカルな分野の監視強化、貴社の製品に詳しい通関業者の利用などによって、ソフト面を取り巻くリスクを緩和することができます。

需要計画/予測に投資する

サプライチェーンを世界各地へ拡大すれば、それだけ需要計画や予測が担う役割は大きくなります。西欧企業は、物流サービス プロバイダーに出荷予定に関する十分な情報を提供できるように、需要計画や予測を司るシステムに投資すべきです。

単独調達を避ける

物流サービス プロバイダーを利用することで、調達を多様化し、不慮の事故に備えて、サプライチェーンの破局的な失敗リスクを緩和することができます。物流支出の10~20%を、二次的なサプライヤへ発注することを検討しましょう。

徹底した追跡管理と可視化

出荷状況を効果的に追跡管理し、可視化することは、必要不可欠です。また、製品の移動状況を監視し、非常事態への有効なアクションを可能するベスト プラクティスであることも証明されています。発注から配送センターや顧客先での受入に至るまで、在庫を追跡監視できれば、有効な安全在庫のひとつとして見なすことができます。

設備資産の品質を監視する

低コスト国からの調達には、設備資産の品質に関連するリスク要因があります。破損したトレーラーや保冷車の不良がドックで見つかることが多く、また検品されずに積み込まれたり、配送ルートのミスで最終目的地へ届かなかったりすることもあります。こうしたリスクを回避するために、バイヤー企業は使用する設備の仕様書を作成し、仕様に準拠しているかどうか検査するべきです。

適切なベンダーを選択する

世界の他の地域と同様に、インドや中国では、最も安価な輸送モードやサービスを提供できるプロバイダーが、必ずしも最も優れた価値を顧客に提供できるとは限りません。中国やインドでサービスプロバイダーを選定する際には、サプライヤの市場における経験値や、リスク回避能力などの非コスト要素についても考慮すべきです。適切なベンダーを選択することは非常に重要です。国際輸送を伴う様々なビジネスユニットを持つ多国籍企業にとって、グローバルな物流サービスプロバイダーと契約すれば、優れた追跡管理システムや厳しい納品スケジュール管理、信頼性、災害などの不慮の事態への対応が保証されます。しかし、中国やインド国内の出荷や輸入に関しては、現地のフォワーダーを使ったほうが、税関との友好関係や、国内倉庫や輸送リソースへのアクセスが優れている場合もあります。

包装にお金を惜しまない

インドや中国など、移動の遅延や取り扱いの煩雑さが問題になるような国から調達する際には、包装が特に重要になります。物流の課題や要件を考慮した適切な包装ソリューションを設計することが重要です。破損を最小限に留め、取り扱い易く、かつ輸送コストが抑えられるような包装でなければなりません。中国やインドから調達した企業からは、積荷超過や舗装されていない道路を使った輸送によって、商品が破損したという報告もあります。

3PL企業と契約する

サプライチェーンの各フェーズに必要なサービスプロバイダーの能力に精通した3PL 企業と契約することで、リスクを緩和できます。3PL 企業を利用すれば、様々な物流活動をコーディネイトできるだけでなく、輸送設備や倉庫設備に資金を投じる必要がない分、運転資本に資金を回すことができます。また、サプライヤも3PL企業の購買力を利用して、物流サービスの価格交渉を有利に進めることができます。

従業員を教育する

最も重要なこととして、インドや中国からの調達を含む幅広いサプライチェーンを持つ企業なら、こうした地域からの商品輸送に伴う課題に対応できるように、採用した従業員を教育することが必要です。サプライヤが離れた場所にいると、物流管理は非常に難しくなります。リードタイムや需要の変動、パフォーマンス評価、問題の解決は、距離に比例して複雑になります。グローバル調達では、購買および物流部門の従業員が、その複雑性や戦略を知り尽くしていることが必至です。

結論
インドや中国などの国々から調達することは、西欧企業にとって、コストを削減し、グローバルな市場競争でアドバンテージを得る絶好の機会を与えてくれます。しかし、インドや中国の物流管理には、インフラ整備や規制のハードル、供給元の細分化といった特有の課題があります。アリバが最近実施した低コスト国の調達プロジェクトによると、中国からの出荷にかかる物流コストは、総所有者コストの12~13%を占めることがわかりました。北米サプライヤから中国サプライヤへと乗り換えることによって、製品コストは約62%削減できたものの、物流コストを含めると、削減高は57%に目減りしました。競争優位のためのコスト削減戦略として、インドや中国からの調達が加速してゆくことに議論の余地はありません。しかし、こうした市場には、関連する物流リスクがあり、こうした課題を十分に理解した上で備えることが、中国/インド戦略の成功の鍵となります。

  インド、中国の物流における舵取り~機会と課題~
  P1 序文
  輸送インフラの現状と物流における課題
  P2 インドのケース
  P3 中国のケース
  インドや中国から調達する企業の業務リスクとリスク緩和のための戦略
  P4 リスクを緩和するために西欧諸国は何をすべきか?