インド、中国の物流における舵取り - 機会と課題-
著者:John Thomas 氏、Michael Berry氏(V.
Sudheesh氏、Alan Long氏 寄稿)

インドや中国は今、爆発的な経済成長の真っ只中にあります。2005年の平均成長率は、インドで8%、中国で9%と驚異的な伸びを示しています。この成長を支えているのは、未曾有のインフラ投資や可処分所得の増加、生産・小売分野の強さです。こうした経済発展を背景に、両国の物流分野は、経済成長における重要性を増し、大きな投資を喚起しています。
一方で、今日の物流環境はというと、密集した道路、サービス プロバイダーの細分化、過剰な規制や貧弱な輸送ネットワークといった様々な制約を抱えており、中国やインドでサプライチェーンを管理するバイヤー企業にとって多くの課題となっています。西欧諸国は、これらの国々の物流分野における機会と課題の両側面を理解した上で取引すれば、業務を効率化し、低コスト国から調達することによるコスト
メリットを活かすことができるでしょう。本稿では、インドや中国における物流インフラの概要を説明するとともに、関連する機会と課題について検証します。また、西欧諸国にとって有効な課題に対する戦略についても提案します。
序文

インドの物流は、GDP(国内総生産)に対して平均的に高く、また3PL(物流専門委託業者)の市場普及率が比較的低いといった点で先進国と異なっています。インドは、貨物の移動関連コストが世界で最も高い国のひとつであり、陸揚げ費込み原価の世界平均が6%であるのに対して、インドは11%を占めています。また、GDP
割合のひとつである物流コストは、米国が8.7%であるのに対して、インドは約13%となっています(下図1を参照)。今日の3PL供給市場は非常に細分化されており、また多くの場合、幅広いサービス分野の中から1社が提供できるのは、トラック輸送や運送仲介などの1つか2つの基本サービスに限定されています。インドでは現在、国家の急速な経済成長を支えるために、物流への大規模な投資が行われています。
<図1> インド、中国、先進国の物流コスト比較
(出典:The Logistics Institute - Asia Pacific)
| 国 |
物流コスト/GDP |
| インド |
13% |
| 中国 |
16-20% |
| 米国 |
8.70% |
| ヨーロッパ |
10% |
| 日本 |
11.37% |
年間成長率が30%を超える中国では、物流のあらゆる分野で目立った投資が行われているにも関わらず、いまだに物流インフラの整備が遅れており、輸出が牽引する同国の経済成長で膨らむ需要を十分に満たせずにいます。図1からもわかるように、中国は労働力の低さに比べて輸送コストが比較的高く、物流コストはGDPの16-20%を占めています。一般的な宅配便の国内移動費用は、米国が輸送コスト全体の20%であるのに対し、中国は60%を占めます。また、輸送能力不足の問題もあり、これは特に入庫(インバウンド)分野に多く見られます。
現在、中国では大規模な物流インフラ改革に着手しています。主なプロジェクトとして、海港や空港の再生、道路の建設、鉄道インフラへの投資、国内水陸ネットワークの改修が進行しています。また、有効な物流ネットワークの構築に欠かせない通信インフラについても、大規模な改修が行われています。
|