SupplyWatch

紙・包装業界
Kimberly S. Davis-Gerst、Haiying Xie著

コスト削減の傾向

第3四半期の概況

購買管理者指数は、6月の56.0%をピークに、7、8月の間に大幅に下落しました(図参照の事)。包装業界の国内需要が低迷しても、海外需要の堅調な伸びやドル安による米国産業の強い競争力を背景に、段ボール原紙やクラフト箱原紙の海外需要が上向きであることから、ほとんどのセクターで価格の弱体化を招くことはないと思われます。

今年の包装メーカーは、海外市場に助けられてきました。紙・包装資材の海外需要は、生産能力を凌ぐペースで伸びており、中国に新たな生産能力が急増したことで、その他の地域の古い設備がアイドリング状態になったことも一因となっています。 

アナリストによれば、ドル安はさらに進むと予測されており、今後2年間の米国メーカーの輸出はさらに加速することになるでしょう。

2007年第3四半期、アリバのお客様の関心は、主に紙関連商材(段ボール、折畳式箱、ラベル、業務用印刷、販促用印刷)の調達に集中し、コスト削減率は7%~35%で推移しました。また、軟質フィルムや硬質プラスティック容器などのプラスティック関連支出が、あらたな関心分野となりました。

アリバのお客様、特に消費財業界の企業は、上記の商材カテゴリを取り巻く低コスト国から調達(LCCS)事情に、引き続き関心を寄せています。紙や紙関連商材をLCCSで調達する実現可能性の評価だけでなく、低コスト国(LCC)地域のサプライヤの能力を知ることにも興味を持っています。概して、LCC地域から調達することのコストメリットを活かすためには、社内構造や業務の変更に備えておかなければなりません。

ライナー価格が長い安定期から脱し上昇

北米産業の生産能力の75%を占める主要総合メーカーは、段ボール原紙価格をトンあたり40ドルに一斉に引き上げました。また中にはトンあたり50ドル上がったケースもありました(ロッキー山脈西部)。9月の箱価格が8~10%上昇するという発表を受け、ライナー価格も上昇しましたが、多くのバイヤーは1月の最初の発表を受けた時点で、既に今回の価格上昇に備えていました。

在庫レベルが低いことから、メーカーは最近の値上げに強気な姿勢をとり、取引に応じない代わりに、在庫の少ない自社の箱工場や好調な海外市場へその玉を回しました。中には、国内で売るよりも工場収益が好ましいケースもあります。

メーカーにとって最大の難関は、原紙価格の上昇を箱単位で乗せられるかどうかという点です。今年は、バイヤーに包装コスト削減の圧力がかかり、箱の内需は停滞していますが、需要が好転すれば、段ボール原紙を値上げしやすくなるでしょう。

ヨーロッパの段ボール原紙市場は、好調な需要が続いていますが、今年初めに米国からの輸入が急増したことで、厚手のクラフトライナーは過剰供給に陥っています。今年初め、ヨーロッパの製紙工場は、取引量の増加1トンにつき10~20ユーロを返金するなど、過剰供給が圧力となって、クラフトライナー価格に影響が出ています。ヨーロッパ市場が堅固なのは、箱需要が健全な事に加えて、再生段ボール原紙の生産設備が閉鎖されたことが大きな理由になっています。

125g~および175g~のテストライナー価格は、今年になって中国で約10~15%上昇し、上半期の箱価格は約5%上昇しました。中国は、Wal-Mart等、様々な米国企業向けに消費財の輸出を伸ばしており、箱生産の最繁期にあります。

箱原紙市場:業界再編とともに価格上昇が根付く

米国の折畳式箱板紙価格世界の箱原紙市場では、北米最大の折畳式箱メーカーであるGraphic Packaging社とAltivity社が合併し、折畳式塗工箱の売上高が44億ドルで世界最大規模になる強豪企業の誕生という、業界再編の発表がありました。合併後のGraphic Packaging社は、北米の再生塗工原紙(CRB)市場で43%のシェアを持つことになり、これによって、Graphic Packaging社、Rock-Tenn社、Cascades社の3強が、北米CRB生産量の約90%を手中に収めることになります。同社のほとんどの設備(製紙、加工工場)は、アメリカ中西部に集中する予定にしています。

今回の合併により、生産設備の統合が進めば、折畳式箱を生産する他の企業にも恩恵があると、アナリストはみています。2005年後半に業界再編が始まって以来、メーカーは11社から7社に減少し、10%以上のCRB生産設備が閉鎖されました。今回の合併を受けて、CRB市場では、上位5社が生産量の95%近くを独占するという、北米で最も集中されたグレードのひとつになるでしょう。

2007年の折畳式箱原紙は、初めの8か月で平均99%近い生産稼働率になりました。これは、適度な輸出成長が国内市場の弱さを克服する効果があったからです。旺盛な夏季需要によって、北米のほとんどの折畳式箱原紙工場は、定格またはそれ以上の稼働率で操業し、それでも需要に追いつかないメーカーもいくつかありました。生産稼働率が高い一方で、再生紙および燃料価格は高水準で推移しています。2008年は、板紙が全グレードでさらに値上がりすることが懸念されています。白板紙価格(SBS)は、2007年第4四半期のトンあたり890ドルから、2008年第4四半期までに、トンあたり940ドルまで上昇すると予想されています。パルプ価格が上昇して再生板紙との価格差が縮まったことで市場シェアが増えたことや、高い稼働率で推移していることが、SBS価格上昇を後押しするでしょう。折畳式白板紙の価格は、2009年も上昇し、下半期までにはトンあたり1000ドルを突破することが見込まれています。

再生紙価格が世界市場に影響

米国の古紙段ボール箱(OCC)の対中国輸出価格の累計平均は、過去12年間で最高水準に達しています。中国の箱需要は今が最盛期で、中国南部のメーカーは、今月5%の生産増加を見込んでいます。中国の板紙価格が上昇すれば、その翌月に米国OCC価格も小さく上昇します。これは、米国サプライヤのOCC生産量がその年のピークに到達する10月、11月前に起こります。OCCの平均価格は、1995年のピーク以来、国内と海外工場の両方で最高水準に達すると予測されています。米国の対中国OCC価格は、1月以来32%上昇し、平均でトンあたり35ドル上昇しています。一般的に、米国産OCCはヨーロッパ産OCCと比べて、トンあたり15~20ドル高い水準で取引されています。

インドでは最近、米国産再生紙を100,000トン以上も購入するなど、世界の主要プレーヤーとなり、中国、カナダ、メキシコに続いて4番目に大きな米国の貿易相手国となりました。インドは、2008年末から2009年までには、メキシコを追い越し、3番目に大きな米国再生紙バイヤーになると思われます。中国は、米国の資材価格が高いことから、米国産OCCの買いを増大させない方向です。中国最大の段ボール原紙メーカーであるNine Dragons社は、台湾と日本にオフィスを設置し、これらの地域からの購入拡大を狙っています。また中国の工場は、ヨーロッパ、特に英国からもOCCや混合紙を購入しています。ある中国バイヤーは、米国産の分別オフィス用紙(SOP)を月に12,000トンも購入しました。米国の印刷筆記用紙の回収率はわずか50%であり、米国バイヤーは、今後SOPが中国に流出することを懸念しています。

世界のラベル市場の成長性

世界のラベル市場は、年間5.5%のペースで成長し、2011年には420億平米(4520億平方フィート)に達すると予測されています。金額換算すると、年間8.3%の割合で増加し、1,000億米ドルに達する見込みです。世界の包装消費財業界は、特に特殊飲料やパーソナルケア製品、医薬品などの分野で市場が拡大しており、ラベル市場の利益増大が見込まれます。また、先進の物流・データ処理システムが発展途上国に普及し、製品識別以外の幅広い用途で、最新技術の付加価値ラベルが開発、普及されれば、市場拡大の大きな引き金となるでしょう。

ラベル市場の成長をけん引するのは、世界の新興経済市場であり、すでに世界の地域別ラベル需要の40%以上を占めています。発展途上国の経済は、概して健全であり、人口の増加、食品、飲料、パーソナルケア用品や他の高度包装消費財をより多くの国民が買えるようになったことで、消費財市場が拡大しており、今後のラベル市場の堅実な成長を促進することになります。最近では中国は、日本を追い抜いて米国に続く世界第2位のラベル市場となりましたが、今後の需要も2桁成長を記録してゆくと見られています。インド、ポーランドやロシア等の東ヨーロッパの市場も、好調な見通しです。

北米や西ヨーロッパ、日本などの先進経済国では、包装利用がさらに成熟しており、ラベル業界は、直接印刷との厳しい市場競争に立たされていますが、在庫管理や製品セキュリティなどの新たな分野で、ラベルを活用する機会は残されています。感圧ラベルは、ウェットグルーを抜いて、1990年代後半の代表的なラベルタイプとなりましたが、2011年までに、世界市場の55%を占めると予想されています。これまで成長市場だったワイン業界や電子セキュリティ業界が成熟したことで、近年のシェアは停滞しています。また、飲料包装などの感圧ラベルが主流の業界にも、プラスティック・スリーブやインモールド、ラップ アラウンド ラベルが進出しました。

資材の点では、プラスティックラベルが徐々に紙用品にとって代わり、2011年までには世界市場の30%近くになることが見込まれています。また、ここ3年間でプラスティック基盤やプラスティック用接着剤が爆発的に増加しました。それと同時に、オイル価格が高騰し、全石油製品への需要がアジアで急騰したことから、生産能力以上の顧客がいる中で、サプライヤが値上げしやすい状況になっています。

ヨーロッパのガラス業界に価格協定の疑い

EFWSID(欧州ワイン・アルコール輸入販売企業連合会)によると、ガラス業界にコストを上げるための価格協定があったようです。過去数年間、ヨーロッパのガラス業界は、プラスティックボトルの普及による市場の縮小と需要の減退による過剰生産能力に苛まれてきました。こうした状況に対応するために、数多くのガラス炉が閉鎖され、2006年までに生産設備の約10%が姿を消したとされています。生産施設を減らしても、溶鉱炉の閉鎖前から積み残された大量の在庫があり、過剰生産能力の圧力がすぐには解消されなかったことは、ガラスバイヤーにとって有利な市場となりましたが、過去数四半期は、高い生産コストと生産能力の削減が作用して、最高30%まで値上がりしたこともありました。

  米国 ヨーロッパ 補足
折畳式箱
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単漂白硫酸パルプ(SBS)板紙の北米メーカーは、8月の折畳式板紙グレードを$40/トン値上げすると発表しました。SBS価格が上がったのは、堅調な箱需要とSBS箱生産能力の減少、SBS生産コストの上昇が原因です。古紙段ボール箱(OCC)や再生塗工板紙(CRB)、再生非塗工板紙(URB)のコストが1995年以来、最高水準となったことを受け、メーカー各社は$40/トンの値上げを発表しましたが、これが適用されれば、米国では今年になって3度目のCRB、URB値上げになります。ヨーロッパでは、様々な箱紙グレードが使われており、価格も国によって異なります。第3四半期の板紙価格は、全グレードで横ばい水準でしたが、市場にはメーカーからの値上げ圧力がかかっています。

段ボール
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コスト
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北米の段ボール原紙メーカーは、今年に入って以前から試みていていた$40/トンの値上げを断行しました。北米産業の生産能力の75%以上を占める総合メーカーは、段ボール原紙価格を一斉に値上げし、9月の段ボールシート価格を9~12%、箱価格を8~10%値上げすると発表しました。これは、東部で43ポンドの非漂白クラフトライナー紙がトンあたり550~560ドル(取引高)になる計算で、史上最高記録になります。これに伴い、メーカーは9月の段ボールシートと段ボール箱のロール価格も値上げできなければ、加工企業から値下げを撤回するように迫られるでしょう。ヨーロッパでは、クラフトライナーとホワイトトップが過去2四半期で値上げ(2006年の同期比で30%超の上昇)されましたが、第3四半期は横ばいで推移しているようです。しかし、ある総合メーカーが、ヨーロッパ全土で40ユーロ、英国で30ポンドの値上げを10月から適用すると発表しました。