導入事例

導入事例 -  ノバルティスファーマ株式会社

購買プロセスを 徹底的に省力化

ノバルティス ファーマ株式会社は、ヘルスケアにおける世界的なリーディング・カンパニー、ノバルティス(本社:スイス)の、医薬品部門の日本法人である。昨今の医薬品開発は、遺伝子研究によるゲノム創薬、バイオテクノロジーの応用など新しいプロジェクトが目白押し。巨額な開発費を確保するため、世界的な規模で合併、連携が行われている。ノバルティスは、それぞれ単体でも世界的な有力企業であったサンドとチバが1996年に合併して誕生。日本法人も、1997年に日本チバガイギーの医薬品部門とサンド薬品が統合し新たな出発をした。

NOVARTISとは「新しい」という意味のNOVAと、「芸術・技術」を意味するARTISから創られた造語。革新的な製品で人々の健康とクオリティ・オブ・ライフの向上を目指している。ノバルティスは、さらなる高効率、高生産性企業を目指し、2000年、グローバルにビジネス化を図るプロジェクトをスタート。部門ごとにテーマを設定して業務改革を進めている。購買部門では、 プロキュアメント - 間接材調達の電子化がテーマとされ、スイス本社においてグローバル契約でAriba® Buyer™の採用を決定する。それを受けて、日本法人でも導入プロジェクトが開始され、2001年6月4日にシステムをカットオーバーした。推進役となった、同社企画管理本部 購買グループ グループマネージャー田辺良明氏、情報システム・総務部IT財務・総務サポートグループ グループマネージャー鈴木幸二氏に、プロジェクトの詳細を伺った。

日本の実情にマッチさせグローバル化

日本でのAriba Buyer導入プロジェクトは、ビジネスケースの分析から始められた。従来の購買プロセスから、どの部分に、どのような形でAriba Buyerを適用するのが効果的であるか精査するのが目的である。プロジェクトは、同社の購買担当者を中心に、IT部門、スイス本社のサポート担当者、導入コンサルタントの日本ヒューレット・パッカード、および日本アリバで構成された。

これまでの間接材購入は、必要となった社員がその都度購買依頼書を作成し、品目によっては見積書を添付して上長の承認を受けて購買グループに提出するルールとなっていた。 また、IT関連製品など標準品の仕様に準拠すべきアイテム、試薬など有害性や環境への負荷を考慮すべきアイテムは、それぞれ専門部署によるチェックが行われていた。

依頼書の提出を受けた購買グループは、購入金額の妥当性 を確認し、より安価な購入が可能と判断すると、購買グループがサプライヤーと価格交渉を行い、正式発注へと進むプロセスとなっていた。こうした購買フローで最適化可能と判定されたのは、小額かつ頻繁に購入される消耗品の扱いであった。

購買担当の田辺氏は、「ペンなどの事務用品の購買に、何人もが時間と労力をかけるのはムダが多かった」と語る。

 一方、IT担当の鈴木氏は、本社が作成した購買テンプレートの日本への適用を検討した。「日本のビジネス習慣と異なるケースもありましたが、マイナーな問題であったためほとんどが適用可能で、最低でも6週間、導入を早められるとの結論が得られました」と語る。

日本のフローを本社に合わせた一つの例は、承認ルールの変更である。これまで、購買者→上長→購買グループというこれまでの流れを、購買者→購買グループ→上長に変更した。日本では上長が追認するルールはあまり採用されていないが、eプロキュアメントの対象が、小額かつ頻繁に購入される消耗品であるため、問題となるケースは極めて少ないと判定された。

反対に、本社のテンプレートに従わなかったケースもある。本社では5%ルールというものが存在した。これは、消耗品を まとめ買いするとき、数量的に5%以内の不足なら、数がそろっていなくても納入を許可するというルール。わずかな誤差のために納期が遅れたり、検収の手間が増えるなら、作業を一度完了させ誤差は次回で調整するという方向だ。しかし、納期、 数量、品質の確保の厳守がビジネスのルールとなっている日本では、ほとんど考慮しなくてよい問題であり、サプライヤーサイドもこうしたルールに適応するシステムとなっていないため不要と判断された。

明快なコンセプトに基づき 4ヵ月で導入を完了

プロジェクトではさまざまなケースが想定されたが、多種多様な間接材をすべてAriba Buyerで調達することは考えなかった。「年にいくつも買わない、購買実績の小さなアイテムは、当社にもサプライヤーにも手間に見合うメリットが得られません」(田辺氏)。

第1フェーズの目標を、もっとも効率化の期待できる「小額 の消耗品」調達に絞り込み、特定の商品ジャンルで取り引き件数の多い部門をパイロットユーザーにシステム稼動を目指すことと定めた。

ノバルティス ファーマでは、パッケージ・アプリケーション のカスタマイズを極力行わない方針をとっている。用意されている機能を活用することで、開発期間、コストとも削減できる上、バージョンアップの際の手間も最少で可能になるためだ。Ariba Buyerの導入についても、この方針が貫かれた。こうして、明快になったコンセプトを元に、作業が進められた。

鈴木氏によれば、作業は極めて順調に進行し、カスタマイズが必要であった、Ariba Buyerと基幹業務システムであるSAP R/3で購買データを連携させる際の、処理もスムーズに開発できたという。Ariba Buyerの購買データはR/3上の会計システム送られ、発注、請求、支払処理が行われる。

システム開発と同時並行で行われたのが、サプライヤーへの説明とサポートである。同社は、すでに間接材の調達を価格競争力のある少数のサプライヤーに絞り込んでいた。今回は、これまでの取引量と取り引き額を調査し、当面のターゲットとなる商品カテゴリーのトップのサプライヤーに参加を求めた。サプライヤー側も、ノバルティス ファーマに提供する電子カタログの作成などに手数を要するが、事務用品、IT関連製品、研究試薬のサプライヤーの協力が決定した。

システム稼動は2001年6月4日。プロジェクトの立ち上げから約4ヵ月後のスピーディな導入であった

導入直後からメリットを確認

Ariba Buyerの稼動に伴い、同社の購買フローは次のように変更された。

消耗品の需要が発生したユーザー社員は電子カタログを検索し、画面上で発注処理を行う。発注内容は電子メールで、購買グループと上長に通知され、受信と同時処理が可能になっている。電子カタログも、事務用品とIT関連製品に関しては、社内の標準に準拠した製品のみの構成である。また、研究試薬については、サプライヤーのカタログをそのまま利用するパンチアウト方式がとられている。「紙のカタログから選んでいるときは、サプライヤーや購入商品、見積書をもとに、アカウントコードや商品分類コードなどを調べて購買依頼書に手書きで転記していました。数字のミスなどが起こりやすい作業でしたが、今は、商品を選定するだけでコードが自動的にひもづけられていますので、格段に労力が軽減されたと実感できます」(鈴木氏)。また、承認を与えるグループリーダーとしても、電子メールとして処理できるため、モバイル環境でも作業を進められ、時間の有効活用が図れると業務のスピードアップ効果を評価する。

同社は、「健康・安全・環境ポリシー(H S E : H e a l t h , Safety and Environment)」を定めており、社会や自然と調和を保ちながら、ステークホルダー(企業と相互に影響し合う人々)の健康と安全を維持するための活動を行っている。間接材の購入についても、このHSEガイドラインが適用されるが、Ariba Buyerの導入により、電子カタログでHSEガイドラインをクリアする製品しか選択できない。こうした商品選定に関しても、HSEガイドラインとの照合が不要になるため、事務処理の効率化が実現できている。

購買グループの田辺氏は、Ariba Buyerをこう評価する。 「研究試薬などですと、すぐにも必要ということが多々ありました。以前ですと、調達状況について購買グループに電話での問い合わせがあったのですが、Ariba Buyer稼動後は、購買フローが今どのステータスにあるかユーザー自ら確認できますので、こうした問い合わせはほとんどゼロにまで激減しました。

グローバル展開を予定するシステム拡張

スピーディに第1フェーズを完了した同社は、第2フェーズへと取り掛かっている。ここでのテーマは、ユーザーとサプライヤーの拡大だ。現在、同社筑波研究所と情報システム部門の90名ほどがパイロットユーザーとなっているが、2001年中に、兵庫県の篠山工場へと拡張し、同工場関係で8社、本社関係で3社、研究所関係で14社のサプライヤーが参加する予定。すでに、篠山工場ではおよそ70名がパイロットユーザーとなっている。その後も、全国に展開する支社・支所へと拡張し、全社員を対象とする予定。

今回のAriba Buyer導入は、ノバルティス グループの世界戦略の一環としても位置づけられている。日本は、同グループで米国、オーストリア、スイス本社に次ぐ4番目の導入となったが、これをアジア・太平洋地域のAriba Buyerのハブサーバーとし、エリアに属するグループ各社がそのサーバーを共用する戦略。世界的には、ヨーロッパ、米国と3極体制を構築し、間接材調達の効率化を推し進める計画だ。

田辺氏は、「当社1社としては購入規模が小さいですが、 アリバ ネットワークに用意された共同購入の仕組みの活用や、調達のグローバル化で、コストダウンの推進を期待しています。e調達の実現で、これまでとは異なる大きな視点から、さまざまな可能性を感 じています」と語る。

Ariba Buyerアリバ ネットワークは、購買プロセスの省力化だけでなく、間接材調達のグローバルなソリューションを実現できるツールとして期待されている。

ノバルティスファーマ株式会社について

設 立/1997年4月1日
資本金/ 60億円
社員数/ 2,650名
所在地/ 〒106-8618 東京都港区西麻布4-17-30
http://www.novartis.co.jp/